学生時代に読んだ一冊、トルーマン・カポーティ(Truman Capote)の『ティファニーで朝食を』(Breakfast at Tiffany’s)。
冒頭に、今でも印象に残っている二つの文があります。

I am always drawn back to places where I have lived, the houses and their neighborhoods.
For instance, there is a brownstone in the East Seventies where, during the early years of the war, I had my first New York apartment.

語彙も構文も難しいというわけではないのに、関係副詞 “where” が何気なく使われているこの2文に、なぜか立ち止まってしまった記憶があります。
それはきっと、言葉が記憶と風景をきれいにつなぎ合わせてくれている感じがしたからなのかもしれません。

1. 文法のはたらきに気づく

この二つの文には、どちらにも “where” が登場しています。

  • places where I have lived(自分が住んでいた場所)
  • brownstone … where I had my first New York apartment(初めてのニューヨークの部屋があった建物)

関係副詞 “where” を使うことで、「場所」と「出来事」が自然につながっています。
説明を加えるだけでなく、語り手の記憶と風景の断片が、すっと流れるように配置されている印象です。

2. 文法が“記憶の仕組み”に見えるとき

この2文に使われている “where” という関係詞は、ただ文をつなぐだけではありません。
「場所」と「そこで起きた出来事」を結びつけることで、記憶を生き生きと伝える効果が生まれます。

だからこそ、読みながら自然に情景が浮かんできます。
カポーティの語りからは、説明されていないはずなのに、場面が立ち上がってくるような感覚がある。そう感じませんか?

そんな作用を引き起こしているのが、関係詞というアイテムなのだと気づいた――
それが、文法への見方が変わり始めたきっかけだったのです。

3. 英語を“読む”ということ

英語の関係詞といえば、who / which / where… など、文法書ではおなじみの項目。
でも、それが生きた文章の中でどう使われているかに気づくと、文法を超えた“言葉の景色”が立ち上がってくることがあります。

文法を学ぶことで、英語の文章の奥にある“記憶”や“風景”まで読み取れるようになることがあります。
そんな静かな感覚を、言葉の合間にふと立ち止まるようにして、拾い上げてみるのも悪くないかもしれません。

🔚 おわりに

関係詞が苦手でも、この2文に出会うことで、
「 場所が語りになる」「構文が記憶を運ぶ」 ー そんなことが、少しだけ実感できるかもしれません。

英語を読むということは、ただ文法や語彙を理解するだけではなく、語り手の経験や感情に目を向けてみることなのかもしれません。

まとめ:英語を読むということは
英語の関係詞 “where” は、ただ文をつなぐだけの道具ではありません。
それは、場所と記憶を結びつけ、語り手の経験をそっと運ぶ“語りの仕組み”でもあるのです。
TOEFLのリーディングでも、こうした構文の理解が、文章の奥にある情景や論理をつかむ助けになります。
文法を学ぶことは、語彙や構文を覚えるだけでなく、語り手の記憶や感情に触れることでもある――
そんな静かな気づきを、英語を読む時間の中で、少しずつ育てていけたら素敵ですね。

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