「1年生は走ってろ!」「1年生のくせに生意気だ!」このような発言は海外で一切耳にすることはありません。海外では、私生活においても年齢や学年による上下関係はなく、練習の準備や片付けは選手全員で行います。試合のメンバー決めも学年ではなく、プレーが際立つ選手が選ばれるのです。どんなに練習をしても、結果が出なければそこまで。日本にはない別の厳しさはあるものの、先輩に怯えながらラグビーをする様な環境はありません。
初めて海外の高校でプレーする学生たちは口を揃えて「指導者が全然教えてくれません」と言います。これは指導を怠っているのではなく「選手は一人ひとり違う」という考えに基づいており、選手から聞かれた質問に対して教える、という指導スタンスなのです。分からなかったり、知りたいことがあれば指導者に率先して聞きに行く文化にいち早く慣れなければ、いつまで経っても「やる気の選手」と勘違いされてしまうことがあります。この日々のコミュニケーションが選手としてのアピールでもあり、指導者やチームメイトとの信頼関係にも大きく影響します。
ニュージーランド(NZ)やイギリス(UK)の高校ラグビー部は、レベルによって複数のチームで構成されています。それぞれのチームの部員数は30名ほど。新学期(NZ:1月〜)からプレシーズンの期間が設けられ、練習態度やスキルやフィットネスのレベルをトータル的に加味して4月からレギュラーシーズンを戦うメンバーを選考します。このメンバー選考によりそのシーズンをどのレベルのチームでプレーできるかが決まるのです。最上学年だからといって1軍でプレーできる確約はありません。一方で、チームが細分化されているため、スタンドで3年間応援だけで終わってしまうことはなく、確実にプレーできる環境が用意されています。
日本では所属するラグビー部以外でプレーをすることは滅多にありませんが、海外の高校では完全シーズン制を敷いているため、シーズンが閉幕すればラグビー部は一旦解散します。ニュージーランドではオフシーズン中は多くの学生がクリケット部に所属し、アスリートとしての身体能力を高めています。またセブンスのクラブチームに参加したり、トレーニング専念するためアカデミーに参加するなど、自分の課題を客観的に分析し、翌シーズンにより高いパフォーマンスで戦うために自身に磨きをかけます。
ニュージーランドの高校では、日本と同様でラグビー部に所属し活動しますが、シーズン制を敷いているため主に3月〜8月がラグビーのシーズンで、それ以外はオフとなり、セブンスやクリケットなどの他競技を行います。
イギリスの高校もニュージーランド同様にシーズン制を敷いているため、オフ期間中はサッカーやクリケットをプレーする学生も多いです。本格的にラグビーに打ち込みたい学生は、民間のクラブチームに所属し放課後及び週末に活動することもできます。
*各学期の間に2週間程度の休暇あり
シーズン中 ニュージーランドの場合